Super Takumar 55mm F1.8レビュー|オールドレンズ沼の入口へようこそ

Super Takumar 55mm F1.8レビュー|オールドレンズ沼の入口へようこそ

沼の入口に立った日

「オールドレンズって、なんか良いらしい」

そんな軽い気持ちで買ったのが、Super Takumar 55mm F1.8だった。価格は1万円ちょっと。失敗しても痛くない金額。

それが沼の入口だった。

Super Takumarとは

1960年代にPENTAXが製造したレンズ。M42マウントという、ねじ込み式のマウントを採用している。

当時のベストセラーレンズで、世界中で大量に売れた。だから今でも中古市場に大量に出回っていて、安く手に入る。

放射線レンズという特徴

Super Takumar 55mm F1.8の一部ロットには、酸化トリウムを含むガラスが使われている。いわゆる「放射線レンズ」。

放射線と聞くと怖いけど、実際の線量はごく微量。日常的に使う分には問題ないとされている(気になる人は調べてみてほしい)。

この酸化トリウムガラスが経年変化で黄変し、独特のアンバーな色味を生み出す。これがSuper Takumarの「味」になっている。

アンバーな色味の魔法

Super Takumarで撮ると、写真が黄色〜オレンジがかる。

デジタルなのにフィルムっぽい

この色味が、不思議とフィルム写真っぽい雰囲気を出す。デジタルカメラで撮っているのに、どこか懐かしい感じ。

RAW現像でホワイトバランスを補正すれば消せるけど、私はあえて残すことが多い。この色味込みでSuper Takumarだと思っているから。

逆光で化ける

Super Takumarは逆光に弱い。フレアやゴーストが盛大に出る。

現代のレンズなら「欠点」だけど、Super Takumarでは「味」になる。光が滲んで、ドリーミーな写真になる。わざと逆光で撮りたくなるレンズ。

とろけるボケ味

開放F1.8で撮ると、背景がとろけるようにボケる。

柔らかいボケ

Super Takumarのボケは柔らかい。輪郭がはっきりせず、ふんわりと広がる。このボケを見ると「オールドレンズって良いな」と実感する。

グルグルボケ

背景によっては、ボケがグルグル回るような描写になることがある。これも「癖」として楽しめる。

マニュアルフォーカスの楽しさ

Super TakumarはAFがない。すべてマニュアルフォーカス。

不便だけど、それがいい

正直、不便。AFに慣れた身としては、ピント合わせに時間がかかる。動くものは撮れない。

でも、この不便さが「撮っている実感」を与えてくれる。自分の手でピントを合わせ、自分の判断でシャッターを切る。カメラ任せじゃない、能動的な撮影。

ピントリングの感触

Super Takumarのピントリングは、適度な重さがある。スカスカでもなく、重すぎでもない。この感触が気持ちいい。

金属とガラスの塊を操作している感覚。デジタルカメラにはない、アナログな手応え。

X-E4での使い方

Super TakumarをX-E4で使うには、マウントアダプターが必要。

M42-FXアダプター

M42マウントをFUJIFILM Xマウントに変換するアダプター。数千円で買える。

私はSHOTENのアダプターを使っている。精度が良くて、ガタつきがない。

Super TakumarをFUJIFILM Xマウントで使うための必須アイテム。

¥4,320 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

フォーカスピーキングを使う

X-E4にはフォーカスピーキング機能がある。ピントが合った部分に色が付く。

マニュアルフォーカスでも、この機能を使えばピント合わせが楽になる。Super Takumarとの相性は抜群。

換算82.5mm

APS-Cで55mmは、フルサイズ換算で約82.5mm。中望遠域。

ポートレートやテーブルフォトに向いている画角。スナップには少し長いけど、「切り取る」意識が強くなって、それはそれで面白い。

なぜ今、オールドレンズなのか

高性能なレンズがたくさんある時代に、なぜ60年前のレンズを使うのか。

「完璧じゃない」からエモい

現代のレンズは完璧すぎる。シャープで、収差がなく、逆光に強い。優秀だけど、個性がない。

Super Takumarは完璧じゃない。色が偏り、フレアが出て、ボケが暴れる。でも、その不完全さが写真に「味」を与える。エモい写真は、不完全さから生まれる。

安い

1万円台で買える。最新の単焦点レンズは数万円〜十数万円する。それと比べたら、気軽に試せる価格。

失敗しても痛くない。だから「とりあえず買ってみる」ができる。オールドレンズ入門に最適。

オールドレンズ沼の入口。アンバーな色味と、とろけるボケ。

¥10,498 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

沼の先にあるもの

Super Takumarを買ってから、オールドレンズに興味が出た。

Helios 44-2、Industar 61、Carl Zeiss Jena…。調べれば調べるほど、面白いレンズが出てくる。これが「沼」と呼ばれる理由か。

でも、私はまだSuper Takumarがメイン。他のレンズも試したけど、結局これに戻ってくる。最初に出会ったレンズは、特別なのかもしれない。

まとめ: 沼へようこそ

Super Takumar 55mm F1.8は、オールドレンズ沼の入口。

1万円台で買える。アンバーな色味が美しい。とろけるボケが気持ちいい。マニュアルフォーカスが楽しい。

現代のレンズにはない「味」がある。写真を撮ることの楽しさを、もう一度教えてくれるレンズ。

興味があるなら、とりあえず買ってみてほしい。失敗しても1万円。でも、気に入ったら、写真の世界が広がる。

沼へようこそ。一緒に沈みましょう。

この記事のライター

羽生 美羽の写真

羽生 美羽

論理でエモを設計する女子エンジニア。なぜこのレンズでこの色が出るのか、光学的に理解したい。

羽生 美羽の他の記事を見る
カメラやレンズをスペックではなく、5人の異なる価値観・生活・制約によって評価するガジェットメディア

検索

ライター一覧

  • 松本 幹也

    松本 幹也

    不便さを愛し、収差を「絵筆」として使う哲学者。コシナレンズとLeicaを愛するSIerインフラエンジニア。
  • 清水 康介

    清水 康介

    減価償却のためにシャッターを切る、ROIの鬼。ITコンサル兼副業フォトグラファー。
  • 羽生 美羽

    羽生 美羽

    論理でエモを設計する女子エンジニア。なぜこのレンズでこの色が出るのか、光学的に理解したい。
  • 近藤 達也

    近藤 達也

    「パパすごい!」のために、失敗だけは避けたい子育てパパ。
  • 中村 徹

    中村 徹

    物理的正しさこそ美。収差を許さない完璧主義者、S-Lineの守護者。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。