オールドレンズ入門:10万円以下で始める具体的な方法と組み合わせ例

オールドレンズ入門:10万円以下で始める具体的な方法と組み合わせ例

オールドレンズの魅力とは

オールドレンズには、現代のレンズにはない「何か」がある。

開放での滲み。絞ったときの独特のシャープネス。フレアやゴーストが出やすい逆光耐性。これらは現代の基準では「欠点」だ。だが、その欠点こそがオールドレンズの「味」になる。

私はオールドレンズ沼に落ちて3年になる。

最初は数千円のSuper Takumarから始めた。今では、Voigtländer、Carl Zeiss、Light Lens Labと、沼は深くなる一方だ。

だが、最初の一歩は10万円以下で踏み出せる。

この記事では、10万円という予算でオールドレンズを始める具体的な方法を解説する。

10万円の予算配分

10万円でオールドレンズを始めるとき、予算は3つに分かれる。

  1. ボディ:オールドレンズを装着するカメラ
  2. レンズ:オールドレンズ本体
  3. アダプター:レンズとボディを接続する部品

すでにミラーレス一眼を持っているなら、ボディの費用は不要だ。レンズとアダプターに全額投資できる。

ボディを持っていない場合は、中古のミラーレスを検討しよう。

ボディの選び方

オールドレンズを使うなら、ミラーレス一眼が最適だ。

フランジバックが短いから、アダプターを介して様々なマウントのレンズが装着できる。一眼レフでは、フランジバックの関係でオールドレンズの選択肢が限られる。

おすすめのボディ

Sony α7シリーズ(初代〜II)。中古で5〜8万円程度。フルサイズセンサーでオールドレンズの画角をそのまま活かせる。

Fujifilm X-T2/X-T3。中古で4〜7万円程度。APS-Cだが、フィルムシミュレーションがオールドレンズと相性抜群。

Nikon Z5/Z6。中古で8〜12万円程度。IBISがあり、手ブレ補正のないオールドレンズでも安心。

すでにミラーレスを持っているなら、まずはそのボディで試してみよう。

マウントの選び方

オールドレンズには様々なマウントがある。初心者におすすめなのは、M42マウントだ。

M42マウントがおすすめな理由

種類が豊富。Pentax、Carl Zeiss、ロシア製など、世界中のメーカーがM42マウントのレンズを製造していた。選択肢が多い。

価格が安い。人気のSuper Takumar 55mm F1.8は、中古で5,000〜15,000円程度で手に入る。

アダプターが安い。M42マウントのアダプターは2,000〜8,000円程度。初期投資が少なくて済む。

Mマウントという選択肢

予算に余裕があるなら、Mマウントも検討してほしい。

LeicaやVoigtländerのレンズが使える。現行のVoigtländerレンズなら、新品でも4〜10万円程度。品質が安定していて、初心者でも安心だ。

アダプターは1〜3万円程度。M42より高いが、レンズの選択肢が広がる。

おすすめのオールドレンズ

入門におすすめ:Super Takumar 55mm F1.8

M42マウントの定番レンズ。中古で5,000〜15,000円程度。

開放ではやや滲むが、F4以降はシャープ。逆光ではフレアが出やすい。これが「オールドレンズらしさ」だ。

50年以上前のレンズだが、状態の良い個体も多い。初めてのオールドレンズに最適。

オールドレンズ入門の定番。開放の滲みと逆光のフレアが味わえる。

¥10,498 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

本格派におすすめ:Voigtländer Nokton Classic 40mm F1.4

Mマウントの現行レンズ。新品で約4.4万円。

オールドレンズの描写を現代の品質で再現している。開放では滲み、絞ればシャープ。保証もあるから安心だ。

私がメインで使っているレンズでもある。

アダプターの選び方

アダプターは、レンズとボディを接続する部品だ。

選ぶときのポイント

フランジバックの精度。安いアダプターは精度が低く、無限遠が出ないことがある。レビューを確認しよう。

内面反射対策。安いアダプターは内部が反射しやすく、フレアの原因になる。植毛や塗装がされているものを選ぼう。

ヘリコイド付き。最短撮影距離を短縮できるアダプターもある。テーブルフォトで重宝する。

おすすめのアダプター

SHOTEN M42-FX(ヘリコイド付き)。約8,000円。Fujifilm Xマウント用。ヘリコイド付きで接写も可能。

Voigtländer VM-Z Close Focus Adapter。約3.3万円。Nikon Zマウント用。高品質で信頼性が高い。

MマウントレンズをNikon Zマウントで使用。ヘリコイド内蔵で最短撮影距離を短縮可能。

¥33,310 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

具体的な組み合わせ例

パターンA:最小予算(約2万円)

すでにミラーレスを持っている人向け。

  • Super Takumar 55mm F1.8(中古):約10,000円
  • M42アダプター:約5,000円
  • 合計:約15,000円

これだけでオールドレンズを始められる。

パターンB:本格スタート(約5万円)

現行レンズで品質を求める人向け。

  • Voigtländer Nokton Classic 40mm F1.4:約44,000円
  • Mマウントアダプター:約8,000円
  • 合計:約52,000円

新品レンズだから状態の心配がない。長く使える。

パターンC:ボディ込み(約10万円)

これから始める人向け。

  • Sony α7II(中古):約50,000円
  • Super Takumar 55mm F1.8(中古):約10,000円
  • M42アダプター:約5,000円
  • Voigtländer Nokton Classic 40mm F1.4:約44,000円
  • Mマウントアダプター:約8,000円
  • 合計:約117,000円

少し予算オーバーだが、2本のレンズで様々な表現ができる。

注意点

状態の確認

中古レンズを買うときは、状態を確認しよう。

カビ。レンズ内部にカビが生えていると、描写に影響する。光に透かして確認。

クモリ。レンズが白く曇っていると、コントラストが下がる。

バルサム切れ。貼り合わせレンズの接着剤が劣化すると、虹色に見える。

状態が心配なら、保証のある中古ショップで買うのがおすすめだ。

無限遠の確認

アダプターによっては、無限遠にピントが合わないことがある。購入後、すぐに確認しよう。

遠くの建物や山にピントを合わせて、無限遠マークと一致するか確認する。

絞りの動作

M42レンズの多くは、絞りを手動で操作する必要がある。レンズによっては、絞りが固着していることもある。

購入前に、絞りリングがスムーズに動くか確認しよう。

オールドレンズ沼への入口

オールドレンズは、沼だ。

一度足を踏み入れると、なかなか抜け出せない。「次はこのレンズを試したい」「あのマウントも気になる」と、欲望は尽きない。

だが、その沼こそが楽しいのだ。

10万円以下で始められる。失敗しても、大きな損失にはならない。気に入らなければ、中古で売ればいい。

まずは一本、試してみてほしい。

どんな人におすすめか

おすすめできる人

  • 現代レンズの描写に飽きた人。オールドレンズの「味」は新鮮だ。
  • マニュアルフォーカスを楽しみたい人。オールドレンズはすべてMF。
  • 低予算で写真を楽しみたい人。数千円から始められる。

おすすめしない人

  • 確実にピントを合わせたい人。AFはない。
  • 逆光耐性を重視する人。オールドレンズはフレアが出やすい。
  • 状態の判断に自信がない人。中古レンズは当たり外れがある。

最初の一歩を踏み出そう

便利じゃない理由には、だいたい意味がある。

オールドレンズは不便だ。AFがない。手ブレ補正がない。逆光に弱い。現代の基準では、使いにくいレンズだ。

だが、その不便さの中に、写真を撮る楽しさがある。

ピントを合わせる感触。絞りリングを回す音。光学設計者との対話。

これらは、AFレンズでは得られない体験だ。

10万円以下で、その世界に足を踏み入れられる。

沼は深い。だが、その深さこそが、オールドレンズの魅力だと思う。

今回紹介した機材

オールドレンズ入門の定番。開放の滲みと逆光のフレアが味わえる。

¥10,498 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

MマウントレンズをNikon Zマウントで使用。ヘリコイド内蔵で最短撮影距離を短縮可能。

¥33,310 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

レンジファインダーデジタルカメラの名機。オールドレンズ沼の終着点。中古市場で探すのがおすすめ。

488,800円 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

この記事のライター

松本 幹也の写真

松本 幹也

不便さを愛し、収差を「絵筆」として使う哲学者。コシナレンズとLeicaを愛するSIerインフラエンジニア。

松本 幹也の他の記事を見る
カメラやレンズをスペックではなく、5人の異なる価値観・生活・制約によって評価するガジェットメディア

検索

ライター一覧

  • 松本 幹也

    松本 幹也

    不便さを愛し、収差を「絵筆」として使う哲学者。コシナレンズとLeicaを愛するSIerインフラエンジニア。
  • 清水 康介

    清水 康介

    減価償却のためにシャッターを切る、ROIの鬼。ITコンサル兼副業フォトグラファー。
  • 羽生 美羽

    羽生 美羽

    論理でエモを設計する女子エンジニア。なぜこのレンズでこの色が出るのか、光学的に理解したい。
  • 近藤 達也

    近藤 達也

    「パパすごい!」のために、失敗だけは避けたい子育てパパ。
  • 中村 徹

    中村 徹

    物理的正しさこそ美。収差を許さない完璧主義者、S-Lineの守護者。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。