Nikon Zfはオールドレンズ機として最高か?半年使った結論

Nikon Zfはオールドレンズ機として最高か?半年使った結論

私がオールドレンズ沼に落ちた原因

Nikon Zfは、私をオールドレンズの世界に引きずり込んだ張本人だ。

SIerでインフラエンジニアをしている私は、仕事では効率と合理性を追求する。だが写真においては真逆だ。不便さには意味がある。そう信じている。

Zfを手に入れたのは発売直後。あのダイヤルだらけの外観に一目惚れした。シャッタースピード、ISO感度、露出補正。すべてが物理ダイヤルで操作できる。現代のカメラなのに、触感はフィルム時代のそれだ。

最初は純正のNIKKOR Zレンズを使っていた。だが、ふとしたきっかけでFTZ IIアダプターを介してAi Nikkorレンズを装着した瞬間、世界が変わった。

EVFがオールドレンズの価値を変えた

オールドレンズをデジタルカメラで使う最大の障壁は、ピント合わせだ。

一眼レフのファインダーは、マニュアルフォーカスには暗すぎる。拡大表示もできない。だがZfのEVFは違う。フォーカスピーキング、拡大表示、そして369万ドットの高精細。暗い室内でも、開放F1.4のレンズでも、ピントの山がはっきり見える。

私がよく使うVoigtländer Nokton Classic 40mm F1.4は、開放では独特の滲みがある。デジタル補正で消すような「欠点」ではない。これは光学設計者が意図した「味」だ。ZfのEVFは、その滲みを忠実に見せてくれる。

EVFで見る収差は、まるで水彩画の滲みのようだ。私はこの瞬間が好きだ。

Nikon Zfで撮影した猫のポートレート
Nikon Zfで撮影。EVFのおかげでマニュアルフォーカスでも正確にピントが合う Photo by Henry Söderlund / CC BY 2.0

5軸手ブレ補正という恩恵

オールドレンズには手ブレ補正がない。当たり前だ。光学手ブレ補正なんて概念すらなかった時代のレンズだから。

Zfのボディ内手ブレ補正は、約8段分の効果がある。これが何を意味するか。

Carl Zeiss C Sonnar T* 1.5/50 ZMを開放で使うと、シャッター速度は1/50秒程度が限界だった。だがZfのIBISがあれば、1/8秒でも手持ちで撮れる。夕暮れの街角、薄暗いカフェ、ISO感度を上げずに撮れる領域が格段に広がる。

光学で起きたことは光学で愛せ。これが私の信条だ。だが、手ブレだけは別だ。手ブレは「味」ではない。ただのミスだ。

Nikon Zfで撮影したキャンドルのテーブル
Nikon Zfで撮影。IBISのおかげで薄暗いシーンでも手持ちで撮影可能 Photo by Henry Söderlund / CC BY 2.0

Mマウントレンズへの道

FTZ IIでFマウントレンズの魅力を知った私は、次にMマウントレンズに手を出した。

Voigtländer VM-Z Close Focus Adapterを手に入れた。このアダプターが秀逸なのは、ヘリコイドが内蔵されていること。本来のMマウントレンズの最短撮影距離を超えて、さらに寄れる。

私のColor-Skopar 28mm F2.8は、本来の最短撮影距離が70cm。だがこのアダプターを使えば、50cm程度まで寄れる。テーブルフォトが撮れるようになった。

Zfで撮るMマウントレンズは、レンジファインダーとは違う世界を見せてくれる。被写界深度が薄いレンズでも、EVFなら正確にピントが合う。

それでも私はLeica M Typ 240を選んだ

半年間、Zfでオールドレンズを堪能した。EVFもIBISも素晴らしい。だが、私は最終的にLeica M Typ 240をメイン機に据えることにした。

なぜか。

Zfは「オールドレンズを便利に使うカメラ」だ。EVFでピントを拡大し、IBISで手ブレを補正し、高感度で暗所を克服する。すべてが合理的だ。

だがMマウントレンズは本来、レンジファインダーのために設計された。二重像合致でピントを合わせ、パララックスを補正しながら構図を決める。その「不便さ」の中にこそ、設計者の意図がある。

Voigtländerのレンズを、Leicaのレンジファインダーで使う。それが本来の姿だと気づいた。

Zfは「入口」として最高だ

誤解しないでほしい。私はZfを否定しているわけではない。

むしろ、オールドレンズの世界への入口として、Zfほど優れたカメラはないと思っている。

EVFがあるから、マニュアルフォーカスの敷居が下がる。IBISがあるから、失敗写真が減る。Zマウントのフランジバックが短いから、あらゆるマウントのレンズが装着できる。

私自身、Zfがなければオールドレンズの魅力に気づかなかった。今でもZfはサブ機として手元にある。旅行には必ず持っていく。IBISの恩恵を受けたい場面では、迷わずZfを選ぶ。

オールドレンズ入門に必要なもの

Zfでオールドレンズを始めるなら、以下の組み合わせをおすすめする。

Fマウントレンズを使う場合

FTZ IIアダプターがあれば、膨大なFマウントレンズ資産が使える。Ai Nikkor、Ai-S、AFレンズまで。中古市場には数千円から数万円の良品が溢れている。

FマウントレンズをZマウントで使用可能に。AF-S、AF-P、AI-Sレンズに対応。

¥31,980 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

Mマウントレンズを使う場合

VM-Z Close Focus Adapterがおすすめだ。ヘリコイド内蔵で最短撮影距離を短縮できる。Voigtländer、Zeiss ZM、Leicaのレンズが使える。

MマウントレンズをNikon Zで使用。ヘリコイド内蔵で最短撮影距離を短縮。

¥33,310 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

Zfというカメラの本質

Nikon Zfは「オールドレンズ機として最高か」という問いに、私はこう答える。

入口としては最高。だが、沼の深淵には別の世界がある。

ZfのEVFとIBISは、オールドレンズの敷居を劇的に下げた。10万円以下の中古レンズでも、現代のカメラに装着すれば新しい表現が生まれる。

だが、オールドレンズの本当の魅力は「不便さ」の中にある。レンジファインダーの二重像合致、マニュアル露出の試行錯誤、フィルム時代の撮影作法。それらを体験したいなら、いずれ別のカメラが必要になる。

Zfは、その旅の出発点として、最高の一台だ。

レトロデザインと最新技術の融合。2450万画素フルサイズセンサー、8段手ブレ補正搭載。

¥299,200 (記事作成時の価格です)

rakuten.co.jp

どんな人にZfをおすすめするか

おすすめできる人

  • オールドレンズに興味があるが、マニュアルフォーカスに不安がある人。EVFのフォーカスピーキングが心強い味方になる。
  • 手持ちでスナップを撮りたい人。IBISがあれば、暗い場所でもブレずに撮れる。
  • Fマウントレンズ資産がある人。FTZ IIで過去の名玉が蘇る。

おすすめしない人

  • すでにレンジファインダーの魅力を知っている人。Zfでは物足りなくなる。
  • 最新のAF性能を求める人。オールドレンズ運用では、ZfのAF機能は使えない。

便利じゃない理由には、だいたい意味がある。Zfはその「意味」を探求する旅の、最初の一歩を踏み出すのに最適なカメラだ。

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松本 幹也

不便さを愛し、収差を「絵筆」として使う哲学者。コシナレンズとLeicaを愛するSIerインフラエンジニア。

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