エモい写真を撮るコツと機材選び|光学と感性の両面から考える撮影術

エモい写真を撮るコツと機材選び|光学と感性の両面から考える撮影術

「エモい」って、結局なに?

「この写真エモい!」

SNSでよく見るこの言葉。でも「エモい」って何?と聞かれると、うまく説明できない人も多いと思う。

私もずっとモヤモヤしていた。「エモい」を感覚で終わらせたくない。なぜその写真がエモいのか、ちゃんと言語化したい。エンジニアの性分かもしれない。

2年くらい考えて、私なりの答えが見えてきた。今回はその話をしたい。

エモさの正体は「不完全さ」

結論から言うと、エモい写真には「不完全さ」がある。

完璧にシャープな写真は、きれいだけどエモくない。高解像度で隅々までクッキリ写った写真は、情報としては優秀だけど、心に刺さらない。

エモい写真には、どこか「揺らぎ」がある。ボケ、滲み、フレア、粒子感。これらは光学的には「欠点」だけど、感情的には「味」になる。

光学的な不完全さ

オールドレンズが人気なのは、この不完全さがあるから。Super Takumar 55mmを使うと分かるけど、開放で撮ると被写体のエッジが滲む。現代のレンズでは出せない、独特の柔らかさ。

とろけるボケの中に浮かぶ花
開放で撮った花。背景がとろけるようにボケている Photo by HLI-Photo / CC0

この滲みは、収差という光学的な「欠陥」。でも、この欠陥が写真に温かみを与える。完璧じゃないから、人間味を感じる。

情報の不完全さ

エモい写真は、すべてを見せない。ボケで背景を消し、光で一部を飛ばし、影で隠す。見る人の想像に委ねる余白がある。

これはInstagramの加工とは違う。フィルターで色を変えるんじゃなくて、撮影の段階で情報を削ぎ落とす。引き算の美学。

エモい写真を撮る機材選び

「機材でエモさは決まらない」という人もいる。半分正解で、半分不正解。

確かに、iPhoneでもエモい写真は撮れる。でも、特定のエモさを狙うなら、それに適した機材がある。

私の機材構成

メインはFUJIFILM X-E4にXF35mm F1.4 R。このレンズ、開放だと独特の滲みがある。現代のレンズなのに、どこかオールドレンズっぽい描写。しかもAFが使える。

開放での独特な滲みと、とろけるボケ味。現代レンズなのにオールドレンズっぽい描写。

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オールドレンズ枠ではSuper Takumar 55mm F1.8。これは沼の入口だった。放射線レンズ特有のアンバーな色味と、とろけるようなボケ。マニュアルフォーカスの不便さも含めて愛してる。

放射線レンズ特有のアンバーな色味と、とろけるボケ。オールドレンズ入門に最適。

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スナップ用にはRicoh GR III。28mmの広角は、エモいというより「日常を切り取る」感じ。でもポジフィルム調のJPEGは、それだけでエモい仕上がりになる。

エモい写真向きのレンズの特徴

  1. 開放F値が明るい(F1.4〜F2)
  2. ボケ味が柔らかい(二線ボケじゃない)
  3. 少し滲みがある(収差を残した設計)
  4. 逆光耐性が低め(フレアが出やすい)

最新の高性能レンズは逆。シャープで収差がなく、逆光に強い。「良いレンズ」なんだけど、エモさは出にくい。

エモい写真を撮る撮影テクニック

機材を揃えても、撮り方を知らないとエモくならない。私が意識しているポイントを紹介する。

1. 光を味方につける

エモい写真の8割は光で決まる。特に「逆光」と「斜光」が好き。

逆光で撮ると、被写体の輪郭が光に溶ける。フレアやゴーストが入ることもあるけど、それもエモさの一部。

斜光(朝や夕方の横からの光)は、影を作る。影があると立体感が出て、ドラマチックになる。

真上からの光(昼間の直射日光)は避ける。影がきつくなりすぎて、エモさが消える。

2. 開放で撮る

絞りは基本的に開放。F1.4で撮ると、ピント面以外がすべて溶ける。この「溶ける感じ」がエモさを作る。

もちろん、状況によっては絞る。でも「迷ったら開放」が私のルール。

3. 主題を絞る

エモい写真は、何を撮っているか分かる。でも、すべてを説明しない。

一枚の写真に主題は一つ。それ以外はボカすか、フレームから外す。「これを見てほしい」というポイントを明確に。

4. 日常を撮る

特別な場所じゃなくていい。カフェのテーブル、窓辺の光、雨に濡れた道。日常の中にエモい瞬間はたくさんある。

大事なのは「気づく目」を持つこと。光がきれいだな、と思ったらカメラを構える。その習慣が、エモい写真につながる。

JPEGで仕上げるエモい写真

私はRAWをあまり使わない。「RAWは可能性を残しすぎて、撮った瞬間の感情を忘れる」というのが持論。

FUJIFILMのフィルムシミュレーション

X-E4のフィルムシミュレーションは優秀。私がよく使うのは:

  • クラシッククローム: 渋くて落ち着いた色味。街スナップに
  • クラシックネガ: フィルムっぽい青みと粒状感。エモさ全振り
  • ASTIA: 柔らかくて優しい色。ポートレートに

撮って出しでほぼ完成。軽くトーンカーブをいじる程度で、大きく加工しない。

GR IIIのイメージコントロール

GR IIIなら「ポジフィルム調」一択。彩度が高めで、コントラストもしっかり。撮るだけでエモい。

「ブリーチバイパス」も好き。彩度を落としてコントラストを上げる。シネマティックな仕上がり。

エモい写真のために必要ないもの

最後に、エモい写真に「いらないもの」を書いておく。

高画素は不要

4000万画素も6000万画素もいらない。むしろ画素数が多いと、シャープになりすぎてエモさが減る。2000万画素あれば十分。

高速AFも不要

エモい写真は瞬間を切り取るけど、スポーツ写真じゃない。AFが速くなくても、エモい写真は撮れる。むしろマニュアルフォーカスで「狙って撮る」感覚も大事。

最新機材も不要

古いカメラ、古いレンズでも、エモい写真は撮れる。むしろオールドレンズの方がエモい描写ができることも多い。

機材に投資するより、光を読む練習をした方が、エモい写真は撮れるようになる。

まとめ: エモさは設計できる

「エモい」は感覚的な言葉だけど、その正体は分析できる。

不完全さ、余白、光。これらを意識すれば、エモい写真は「設計」できる。感性を言語化することで、再現性が生まれる。

でも最後は「ときめくかどうか」。理屈を超えた何かが、エモい写真にはある。

私は、論理と感性の間で写真を撮り続けている。どっちか一方じゃなくて、両方大事。それが私なりの「エモい写真」へのアプローチ。

あなたも、自分なりの「エモい」を見つけてみてほしい。

軽量コンパクトでエモい写真に最適。フィルムシミュレーションでJPEG撮って出し派にも。

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Super TakumarなどM42レンズをFUJIFILM Xマウントで使うための必須アイテム。

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エモい写真の入口。放射線レンズ特有の色味と、とろけるボケで沼へようこそ。

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羽生 美羽

論理でエモを設計する女子エンジニア。なぜこのレンズでこの色が出るのか、光学的に理解したい。

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