星空撮影に必要なカメラとレンズの条件|Z7 IIで天の川を撮る
星空撮影は機材の限界との戦い
星空撮影は、カメラの性能を限界まで使う撮影ジャンルだ。
暗い環境で、動く被写体(地球の自転で星は動いている)を、高感度で撮影する。センサーサイズ、高感度性能、レンズの明るさ、すべてが試される。
私がZ7 IIで星空撮影に挑戦して分かった、必要な機材条件を解説する。
カメラに求められる3つの条件
1. センサーサイズ:フルサイズが有利
星空撮影では、フルサイズセンサーが圧倒的に有利だ。
センサーが大きいほど、1ピクセルあたりの受光面積が大きくなる。同じISO感度でも、ノイズが少なくなる。
APS-Cでも撮影は可能だが、同じ画質を得るにはフルサイズより1〜2段低いISO感度に抑える必要がある。つまり、シャッター速度を遅くするか、より明るいレンズが必要になる。
2. 高感度性能:実用ISO上限を知る
Z7 IIの高感度性能は、正直に言うと星空撮影向きではない。
私の経験では、実用ISO上限は6400だ。3200までは問題ないが、6400を超えると暗部ノイズが目立ち始める。12800以上は、等倍で見ると厳しい。
4575万画素の高画素機は、1ピクセルあたりの受光面積が小さい。高感度性能では、2400万画素クラスのカメラに劣る。これはトレードオフとして受け入れている。
Z8やZ9のような積層型センサー搭載機、あるいはZ6 IIIのような高感度特化機の方が、星空撮影には向いている。だが、Z7 IIでも設定と後処理で対応可能だ。
3. ノイズリダクション:長秒時と高感度
Z7 IIには2種類のノイズリダクションがある。
長秒時ノイズ低減 30秒以上の露出で有効になる。撮影後に同じ時間だけダークフレームを撮影し、ノイズを引き算する。効果は高いが、撮影時間が2倍になる。
私はオフにして、後処理でノイズ対策している。ダークフレームは別途撮影して、スタッキングソフトで処理する。
高感度ノイズ低減 ISO 800以上で適用されるノイズ処理。RAW撮影では影響しない。
レンズに求められる3つの条件
1. 焦点距離:広角レンズが必須
星空撮影には、20mm以下の広角レンズが必要だ。
理由は「500ルール」にある。
シャッター速度(秒) = 500 ÷ 焦点距離(mm)
星は地球の自転で動いている。長時間露出すると、星が線になって写る(星が流れる)。これを防ぐには、シャッター速度に上限がある。
| 焦点距離 | 最大シャッター速度 |
|---|---|
| 14mm | 約35秒 |
| 20mm | 約25秒 |
| 24mm | 約20秒 |
| 35mm | 約14秒 |
| 50mm | 約10秒 |
焦点距離が短いほど、長いシャッター速度が使える。つまり、より多くの光を集められる。
私の24-120mm f/4 Sは、広角端24mmでも最大約20秒しか使えない。本格的な星空撮影には、14mmや20mmの超広角レンズが欲しい。
2. 明るさ:F2.8以下が望ましい
レンズは明るいほど有利だ。
F4とF2.8では、光量が2倍違う。同じシャッター速度なら、ISO感度を半分にできる。つまり、ノイズが減る。
理想はF2.8以下。F1.4やF1.8の単焦点レンズなら、さらに有利だ。
私のZ 24-120mm f/4 Sは、F4通し。星空撮影には明るさが足りない。NIKKORの広角単焦点、例えばZ 20mm f/1.8 Sなら、2段以上の明るさが得られる。
3. 周辺画質:コマ収差に注意
広角レンズを開放で使うと、周辺の星が変形することがある。
コマ収差と呼ばれる現象だ。点であるべき星が、カモメのような形になる。
S-Lineレンズはコマ収差を抑えた設計だが、開放では完全にはゼロにならない。F2.8〜F4まで絞ると改善する。
つまり、明るいレンズを買っても、開放では使えないことがある。レンズのMTFチャートだけでなく、実際の星空撮影サンプルを確認することが重要だ。
三脚:妥協できない必須装備
星空撮影で三脚は必須だ。10秒以上の露出を手持ちで撮ることは不可能。
三脚の条件
耐荷重 カメラとレンズの重量の3倍以上が目安。Z7 II(約705g)+Z 24-120mm(約630g)で約1.3kg。耐荷重4kg以上が安心。
重量 軽すぎると風でブレる。私は3kg以上の三脚を使用している。カーボン製なら軽くても剛性が高い。
脚の伸縮 低い位置から撮影することも多い。最低高が低い三脚が使いやすい。
私の運用
- 三脚:3.5kgのカーボン三脚
- 雲台:自由雲台(星空撮影では水平出しが重要)
- リモートレリーズ:シャッターブレを防止
- セルフタイマー:リモートレリーズがないときは2秒セルフタイマー
Z7 IIで撮る星空撮影の設定
私がZ7 IIで星空撮影するときの設定を紹介する。
基本設定
| 設定項目 | 設定値 | 理由 |
|---|---|---|
| 撮影モード | マニュアル | 露出を完全にコントロール |
| ISO感度 | 3200〜6400 | Z7 IIの実用上限 |
| シャッター速度 | 15〜25秒 | 500ルールに従う |
| 絞り | F4 | 24-120mmの開放 |
| ホワイトバランス | 4000K前後 | 星空の青を表現 |
| 長秒時NR | オフ | 後処理で対応 |
| 高感度NR | 標準 | RAWには影響なし |
フォーカス
星は無限遠だが、レンズの∞マークは正確ではない。
- ライブビューで明るい星を拡大表示
- MFでピントを追い込む
- テスト撮影して確認
- テープでフォーカスリングを固定
まとめ:Z7 IIは星空撮影の「ベスト」ではない
正直に言う。Z7 IIは星空撮影のベストチョイスではない。
4575万画素の高画素機は、高感度性能で不利だ。専用機としてはZ6 IIIやα7S IIIの方が向いている。
だが、Z7 IIでも撮れないわけではない。
- ISO 6400までに抑える
- 広角レンズで長いシャッター速度を確保
- 三脚と丁寧なピント合わせで対応
- 後処理でノイズリダクション
「中途半端な機材を複数持つより、完璧な一台を使い倒す」が私の信条だ。星空撮影のためだけにサブ機を買うより、Z7 IIの限界を理解して使いこなす。
次のステップとして、NIKKOR Z 20mm f/1.8 Sの導入を検討している。広角と明るさを両立した、S-Lineの星空撮影向けレンズだ。
4575万画素のフルサイズミラーレス。高感度には限界があるが、丁寧な撮影と後処理で星空も対応可能。
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星空撮影に最適な大口径超広角単焦点レンズ。F1.8の明るさと20mmの広角で、500ルールに基づき約25秒の露光が可能。S-Lineならではの高い周辺画質でコマ収差も抑制。
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